ファジィ薬物血中濃度測定支援装置(東大病院)

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事例名

ファジィ薬物血中濃度測定支援装置

企業・団体名

東大病院

出展

日刊工業新聞 1990年

内容

 ファジィ理論の採用でTDM業務を支援 東大病院がシステム開発 東京大学付属病院薬剤部の伊賀立二薬剤部長らは、TDM(薬物血中濃度測定)業務を支援するシステムを開発した。測定結果と患者個人の状況から熟練者(薬剤師)が判断した薬の処方方針と、このシステムで同じデータをもとに出したコメントがほぼ一致することを確かめた。今後、数種類の薬剤使用でも判定できるエキスパートシステムに発展させ、業務オンライン化につなげる。TDM業務は、患者が服用している薬の血中濃度を測定し、症状の改善と見比べてよりよい処方を再検討する業務。つまり①症状が改善しないのは喫煙など個人差によって薬物濃度が低く抑えられているためと判断し、投与量を増やす②症状も改善し濃度も十分な場合は投与量を減らす③症状は少しも良くならないが、濃度が十分な場合、患者の服用方法が誤っていないか確認する-などの方針決定を行う。伊賀教授らは、抗てんかん剤の一つ、バルプロ酸の服用を取り上げ、ファジィ理論を用いてこの作業を行うシステムを開発した。初めに患者の血中バルプロ酸濃度、投薬の時間と量、患者の年齢や体重などを入力し、血中濃度の予測推移曲線を描いた。これに臨床の効果(てんかんの発作の治まり具合)、副作用、併用薬の有無などを加え作製したシステムで処方に対するコメントを引き出した。その内容は「Aの方法は適切でないが、Bの方法を試みては」、「肝機能に注意」、「体重が不明(記入されていない)なので平均体重として計算した」など多岐にわたる。ファジィ推論を用いたことにより、例えば「50以上は良」という基準において49をどう判断するかという部分、「よいと思われる」と、さらに確信の強い「よいでしょう」のコメントの使い分けの部分でより人間に近い感覚を持ち込んだ。熟練者が出したコメントと比べると、バルプロ酸単独使用の15症例はすべて、他の抗てんかん薬と併用使用の27例のうち22例ではぼ一致した。一致していないものは、このシステムがバルブロ酸以外の情報をほとんど組み込んでいないために生じた。このため、数種類併用時にも正しく判断できる総合エキスパートシステムに発展させれば、一段と実用性が高まるとみられる。同システムは熟練者にはミスを防ぎ省力化を支えるものとして、また非熟練者には判断の基準を体得する教育システムとしても有効だ。熟練者に依存する分か減るため、中小の医局でもTDM業務が行いやすくなり、将来的には調剤側と診療側の情報のオンライン化が期待される。

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