い草刈り取り機ファジィ方向制御 (クボタ)

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事例名

い草刈り取り機ファジィ方向制御

企業・団体名

クボタ

出展

日刊工業新聞 1991年

内容

 ファジィ(あいまい)制御は家電製品に幅広く応用されブームとなっているが、農業機械など産業分野にも広がりつつある。とはいえファジィ家電はブームが上滑りしている面もあり、課題も多い。ニューロ制御などポストファジィの動きもある。こうした中、高度な制御が可能なファジィチップの実用化を目指すなど、日本が先行するファジィ技術は新しい段階に入っている。エアコン、洗濯機、冷蔵庫と家電製品に広くファジィ制御が導入され、全盛期を迎えている。今やファジィにあらずんば家電にあらずとの様相さえ見せているが、急激に浸透した分、業界が抱え込んだ問題点も多い。家電製品にファジィ制御が最初に導入されたのは三菱重工業のエアコン。室温コントロールの一部に採用され、人間の感覚に近い、より快適なコントロールが可能になるというのがうたい文句で、家電製品の機能の一部として新しい付加価値ともいわれた。昨年は松下電器産業、東芝、シャープと相次いで家電メーカーが導入を決め、新製品、とくに「白もの」と呼ばれる分野ではまず間違いなく商品名の冠にファジィがついた。もともと制御理論の一つであるファジィに電機メーカー各社が飛びついたのは、ヒット商品のない業界の苦しい台所事情がある。洗濯機や冷蔵庫など国内でははぼ100%の普及率で、市場は完全に頭打ち。これらはつくれば売れる時代から、どうしたら売れるかという時代に突入する中で、各社で限られたパイをめぐって激しいシェア争いが展開されていた。ファジィは制御理論という本来ならば性能や機能といった商品の特徴の「黒子」であるべきものが、こうした市場環境の中で半ば強引に商品の一機能に位置づけられPRされてきた側面がある。従って理論としては確立されているものの、応用製品としては各社の定義づけもマチマチで、あげくの果てには他社のファジィを評して「あれは本当のファジィではない」などという発言もでる始末で、消費者にとっては必ずしも理解しやすいものではない。急速に応用製品が増加したもののオーディオ・ビジュアル分野で浸透している AI(人工知能)機能との区別もなく、最近ではこれに松下の「ニューロ制御」も加わって、ますます混とんとしているのが実情だ。こうしたことから電機メーカーの中には「あまりにファジィで走りすぎて、早くもブームは減速気味」とさえいわれている。もともと米国など海外向けにはファジィという言葉はあまりにマイナスイメージが強過ぎて使用されておらず、結局は日本の消費者だけが踊らされた側面も否めない。今後はファジィやAIといった言葉に各社共通の定義が下されることが業界に求められることになりそうだ。農業機械ではクボタがい草ハーベスタ(刈り取り機)にファジィ方向制御を採用している。農機でファジィ制御を実用化したのはこれが初めて。従来の刈り取り機では、運転者は刈り取ろうとする株の列から脱線しないようにハンドル操作に気を配らなければならなかったが、同機では機械の前部に設けたファジィステアリング(自動方向制御装置)が株列を感知し、条にそって自動的にハンドルを切るため、運転操作が格段に楽になった。農機は理論化の難しい自然条件が相手だけに、ファジィ制御が生かされる分野として各社とも開発に力が入っている。また計測器では、横河電機が工業炉の温度制御用などに使われる調節計にファジィ理論を応用している。炉内温度の目標設定値を超えてしまうオーバーシュート対策には熟練者の微妙な操作が必夢となっていたが、ファジィ制御で簡単に最適制御ができるという。ファジィをポピュラー化した家電製品には、いわゆるファジィチップは使われていない。簡単な制御のためソフトウエアで汎用マイコンにファジィ機能が盛り込めるからだ。しかし、ファジィの応用分野として注目されている熟練者にしかできない微妙な制御の自動化など高度な制御分野となるとソフトでやってやれないことはないが、ファジィ論理をハード化したファジィチップの助けが必要となる。とくにエキスパートシステムなど多入出力や多目的制御を要する故障診断、証券投資、列車運行計画など意思決定の自動化や支援分野ではファジィチップの実用化が進みつつある。このファジィチップの試作例は各社、各大学機関から多く発表されているものの、実際に商品として実用をみているのはオムロンのFP-3000程度。論理の確定までを一チップで行い、5つの条件で2つの結論を得るのに650マイクロ秒かかるが、多入出力の論理演算としては高速だ。将来的にファジィチップはコンピューターや通信分野にも有望。複雑な処理を高速かつ容易に行えるからだが、そのためにはファジィチップのより高速処理と新しいアルゴリズムの搭載が大きな課題となろう。

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