事例名
ファジィコントロールソフトウエアパッケージ
企業・団体名
富士電機
出展
日刊工業新聞 1989年
内容
富士電機(社長中尾武氏)は、法政大学工学部の廣田薫教授やNTT中央電気通信学園と共同で、ファジィ(あいまい)理論がパソコンで学べるCAI(コンピュータ利用教育)教材を開発した。汎用ファジィ制御システムでわが国トップの実績を持つ同社が、ファジィ理論の工業的応用をさらに加速するには「ファジィ人口」を増やすことが欠かせないと判断し、新教材をCAIビジネスの足がかりにする考えだ。NTTラーニングシステムズ(東京都新宿区新宿 2-3-11、社長岩場洋氏、TEL:03-226-2711)を窓口に、4月から販売する。価格は5万8,000円。ファジィ理論をCAIにまとめたのはわが国初という。一般的な理論だけではなく、熱気球の飛行制御や水処理用薬品注入の統計的解析など、富士電機が持っている具体例のシミュレータが含まれているので、システムの構築や調整が実体験できる。またアニメーションで遊びながらの習得など、ファジィ制御の実施を目指す技術者以外に、一般の人や学生でも使えるように工夫している。フロッピーディスクと解説書で供給。適用機種は日本電気PC9800と富士通のFMシリーズ。富士電機は1980年からファジィを手がけ、昨年、汎用ファジィ制御システムの納入実績が20件を超えた。現在も引き合いは活発だが、ユーザからは「ファジィは難しい」との声が上がっており、普及にはファジィ理論を習得した技術者を増やし、すそ野を広げることが必要とみて、富士ファコム制御とともにCAIを企画、製作した。ファジィシステム拡販支援のほか、CAI自体を新しい事業分野に育てることも狙っている。今回のファジィCAIの開発はCAIのノウハウを持つNTT中央電気通信学園が行い、法政の廣田教授が監修した。ファジィ理論は従来のコンピュータ処理法では扱いにくい、あいまいな概念をあいまいなまま処理する新しい理論。専門家の知識を規則として用意しておき、状況の変化に応じてコンピュータが変化と規則を高速演算、最適な答を導き出す。水処理、地下鉄の運転、プラントやロボットの制御などに応用が進んでいる。