事例名
AIファジィ火力蒸気タービン振動診断装置
企業・団体名
三菱重工、関西電力
出展
日刊工業新聞 1990年
内容
関西電力(社長森井清二氏)は三菱重工業(社長相川賢太郎氏)と共同で、AI(人工知能)とファジィ(あいまい)理論を応用した火力蒸気タービン振動診断装置を開発した。宮津エネルギー研究所一号機(37万5,000kW)で試験運用を始めたのに続いて、今年運転開始予定の南港発電所へ設置、実用化する。タービン発電機の振動監視は最も重要な課題の一つ。異常振動に対する原因究明と運転員への適切な指示が安全運転のかなめになっている。同装置は、AI とファジィ理論を応用したエキスパート(専門家)システム。振動原因を瞬時に判断し、ディスプレ上で適切な処置方法などを指示するようになっている。これまでのように時間をかけて原因を探ったり、熟練者の経験に頼らなくて済むようになった。システムは、データ集録・監視用と診断用の2台のミニコンピュータを接続して運用する。通常運転中は振動振幅値、位相、周波数など集録データを一定時間(最小15秒)間隔でファイルに記憶しておき、設定値を超える振動が発生した場合は、診断用ミニコンピュータが働いて、その原因と処置方法を表示する。昇・降速時についても、一定回転数ごとに振動データを集録・保存する。また、円滑に回転させるのに必要なバランスウエート(おもり)の取り付け効果予測も行う。タービン事故は大きな危険を伴うだけに、各電力会社とも診断装置の実用化研究を進めているところ。